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ジョジョの奇妙な東方 ~FF・of・fate~ 第15話:人間が好きな妖怪 その③ 重ちーと慧音のやりとりを見ていた人物は、慧音が教えている生徒の一人だった。 その子供は毎日のように遊んでくれる重ちーの事が好きだった。少し抜けているところが好きだった。そのクセに間違っている事を間違っていると言ってくれるその姿勢が好きだった。 そんな重ちーが不思議な力を使っているのを見てしまった。重ちーが【普通の人々と違う】事を知ってしまった。 そんな【事実】を知ってしまった子供が周りの大人に喋るのはある意味必然と言えただろう。憧れの人物が普通と違っていたのだ。喋ってしまった子供を誰が責められただろうか? ただ一つの【不運】は。 その子供の報告を聞いていた大人の中に、慧音の言う【妖怪を嫌う人間】がいてしまった事だろう。 しかし、その【不運】は【その人間】の不安を煽り、更にはその不安を拡大させてしまった。 そして、そういう感情に限って拡大は早いものだ。たちまちのうちに重ちーに対する不信感が強まっていってしまった・・・ FFが寺子屋に来た次の日の夕方。 いくら住人のほとんどがヒマを持て余している幻想卿とはいえ、例外は必ず存在する。 幻想卿最強の妖獣と呼ばれる【八雲藍】もその一人だ。基本的に24時間単位で忙しい彼女は朝は結界の見回り、昼は住処の掃除、夕方にはマヨヒガで猫相手にプロレスか寺子屋で遊んでいる橙を迎えに行き、夜は主人を起こすという生活を送っている。 1日のほとんどが仕事の彼女にとって、橙とのコミュニケーションはある意味オアシス(スタンドに有らず)に近いモノがある。そして橙の成長の報告は微笑ましく、楽しみな事でもあった。 「それでね、それでね藍様!今日からね?FFって人が先生になったの!」 「そーかぁ。新しい先生かぁ~。」 「うん!それでね!今日はね!反対の言葉を教えてもらったの!」 「そっかぁ。また橙は賢くなったんだなぁ・・・」 「うん!コーヒーの反対は紅茶でねっ!塩の反対はソースなの!ブタの反対はシャケなんだって!」 「そっかぁ~・・・・・・・・・そうか?」 今の藍を見た者は絶対にこのキツネが最強の妖獣であるなどとは思わないだろう。それほどまでに目尻と頬の筋肉は緩みきり、某メイド長並に鼻血をたらさんばかりの顔で橙の報告を聞いているのであった。 親バカと言われようと知った事か。この子と一緒にいる事が何よりの精力剤となるのだから!それにこんなに楽しそうに報告をしている橙を見たら鼻血の1リットルや2リットルも出るというもんだ! この幻想卿一のバカ親子(⑨ではない)はそんなやりとりをしながら人間の里へと歩いていった。今夜の夕食の買出しの為だ。 だが、そんな緩みきった顔も人里に入った瞬間に引き締まる事になる。 「ら、藍しゃま・・・?」 「あぁ。どうもおかしいな・・・?」 怯える橙をなだめつつ、周囲に注意を向ける。 見た感じはいつもと全く変わらない商店街である。歩いている人間達もいつもの通りだ。 だが人間達の様子がどうもおかしい。まるで【何かおかしなもの】でも見るような目をしている。その目線の先はほとんどが【橙】に向けられていた。 本来の藍なら橙にそんな目をしている人間など即座に八つ裂きにしているところだ。だが、【目に映る全ての人間】が【同じ目をしている】事が藍を警戒させた。 (自分ならまだわからないでもない・・・一応大妖怪の一人だしな・・・だが、何故【私】ではなく【橙】なんだ・・・?) 慧音の頼みで橙を寺子屋に通わせているからか? ノン 橙が寺子屋に行くようになってからもう1週間だ。今更警戒したところでどうなる? 橙が何かやらかした・・・? ノン 橙はいい子だ。何かやらかしてしまったら必ず報告するよう言ってある。報告は今まで一度もない。 橙の配下の猫共か・・・? ノン 橙の実力的に猫共が力を持つ事はない。何かしたとしてもノラ猫レベルのはずだ。 自問自答を繰り返すが、答えは出ない。【理由】がない。【自分】ではなく【橙】のみを見る【理由】が。 藍はそこで思考を中断する。無駄な事はいくら悩んでも無駄なのだ。自分はそれに答えられるだけの【欠片】を持ち合わせていない。 さっさと買い物を済ませて帰ろう。そう考えた藍は橙を連れ、商店街に入っていった。 「やぁ、調子はどうだい?」 「ん?あぁ、八雲ンとこのキツネとネコじゃあねぇか。いらっしゃい。」 幻想卿ではめずらしい黒い肌をしたがっしりした女性が応対する。 この店は店主がハイハイをしていた頃から知っている旧知の仲だ。更に売り文句が『妖怪も人間も御用達』である優良店である。 「鳥肉と兎肉、それにネギとショウガを貰えるか?」 「おぅ。あと、このダイエットコークはサービスしとくぜー。」 藍の注文に応えながら籠に商品を放り込んでいく。そしてどこからか『ダイエットコーク』と描かれた缶を最後に放り込んで藍に渡した。 この店主は必ず『ダイエットコーク』をサービスするのだ。どこから調達しているのかわからない幻想卿七不思議の一つである。 「ありがとう。この飲み物は紫様が大好きでね。売ってくれないか?」 「そういう訳にもいかねェんだよォオオ。すまねぇがな。」 この会話もいつもの事だ。少なくともこの店はいつも通りであるらしい。少し安心し、去ろうとした藍に店主が声をかけた。 「あ、もう一つサービスだぜー八雲ンとこの。しばらくそこのネコを寺子屋に行かせない事を薦めるぜェ。」 その言葉にピタリと動きを止める藍と橙。言葉に含まれる意味を図りかねたのだ。 「・・・どういう意味だ?」 「一万、と言いてェところだがまァ個人的に気に入らねェんでな。サービスしとくぜ。その籠ン中だ。」 ニヤリ、と笑ってその【店主】は籠を指差した。 その翌日の昼。 重ちーは完全に意気消沈していた。 今日も今日とて慧音の言いつけをスコーンと忘れ、農家の手伝いに行ったのだが手伝わせてくれなかったのだ。 それどころか誰もがこちらと話をしようとしてくれない。誰かに話しかけようとしてもそっぽを向かれ、こっちを向いてくれない。 いくら寺子屋で手伝いをしているとはいえ、重ちーはまだ14歳の子供である。邪険に扱われて平然と出来るわけもなく、トボトボと寺子屋に戻っていっているのだった。 「・・・一体どうしたんだど・・・?みんなが冷たいど・・・」 手のひらに乗っけたハーヴェストにボソボソと話しかける。慧音には『絶対に人前でその能力を使うな』と厳命されているが、誰も見ようとしていない今ならいいだろうと話し相手用に呼び出したのだ。 「オラ、なんか悪いことしたか・・・?こっそりオラだけスイカを2玉食べたのがいけなかったのかど・・・?それとも手伝いの報酬を上げてくれって言ったのが悪かったのかど・・・?」 実に重ちーである。無論、そんな理由であっさり嫌うような人間はいない。 だが、自分で考えた事を勝手に自分で信じてしまうのも人間であり、重ちーである。きっとスイカを食べた事に違いないと頭を抱えながら寺子屋に戻っていく。 そんな彼が帰ってきて見たものは。 敬愛する教師達を取り囲む人里の男達であった。 FFは完全に混乱していた。 当然だ。新任の教師として来て、2日目の出来事である。紅魔館(の図書館)に行く予定であるにとりを置いて学校に行き、早苗と一緒に子供達に計算式を教えていたはずだった。 急に慧音が神妙な顔で入ってくるなり、『子供達を部屋から出さないでくれ』と言ってきたのだ。 ひとまずその場を早苗に任せ、詳細を聞きに慧音の後を追って校舎から出たFFが見たもの。それが、この光景だ。 「・・・コイツは何の冗談だ?慧音。」 「判らない。身に覚えがない以上、判りようがないが・・・妹紅?」 「竹林の糞NEETだったら腐るほどあるが・・・少なくとも私は人間のつもりなんでね。身に覚えはないな。」 既に外に出ていた妹紅も判らないようだ。FF自身にも思いつく限りはない。【外の世界】なら掃いて捨てるほどあるのだが・・・ だが、そんな彼女達を嘲笑うかのように殺気だった男達がこちらにやってくる。これが現実だ。目を逸らすわけにもいかないだろう・・・ 「何の用ですか!?今は授業中です!」 慧音の声にも耳を貸そうとしない。ただ、こちらを睨みつけながら持っている鍬や鉈を構えるだけだ。 女三人にあまりに物騒すぎるように見える。が、まぁ妖怪に半妖、不老不死が揃っているのだから鍬や鉈では弱すぎる位か。 「すまないが、ここに来た理由を言ってくれ。場合によっては私達もそれなりの対応をせざるを得ない。」 「え、FFッ!?」 「コイツ等の目・・・気に入らねェ・・・。【こんなところ】に来ているくせに【マジで怯えた目】をしていやがる・・・二つの事が矛盾してるンだよ、慧音。」 FFが指を男達に向ける。それに驚く慧音をよそに妹紅の周囲の温度がどんどんと上がってゆく。妹紅も戦闘準備を行っている証拠だ。 妹紅の言葉を証明するかのように男達の輪が遠くなってゆく。攻撃される、と思っていなかったのだろうか? 「なぁ。お前らが何の目的でココに来たのかはもう【興味】はねぇな。だが、【一つ】答えてくれねェか?」 「お前達は【攻撃されるかも知れない】っていう【覚悟】をして来てるのか?なぁ。慧音の寺子屋にそうやって【武装】してるって事はよォ・・・」 FFと妹紅が更に詰め寄る。詰め寄っただけ後ずさりする男達。 これで【理解】できた。コイツ等は理由は知らないが、慧音に【何か】を【強要しようと】している。だが、【攻撃される】事は想定していない・・・ 自分は攻撃されない【だろう】という身勝手な【ルール】でココに来た【大馬鹿者】と言う事か・・・ 「何て茶番だ・・・くだらない。基本的に人間は好きだが、こういう所が人間の駄目なところだ・・・」 完全に興が削がれたFFは狙いを定め、出来る限り被害が少なそうな部位を狙ってFF弾を撃ち込んだ。 前へ 目次へ 続き
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第零フレーズ 『奇妙な人』 沖田陸はのんびりと散歩をしていた。 散歩している具体的な理由は無い。 ただ、無性にで歩きたくなったのだ。 撫子は家の用事でいないし、綾乃とくーは出かけている。 そして春奈はアパートの自室で締め切りに追われている。 他の人たちも何かしらの用事で忙しい。 珍しく今日は陸以外に暇なすごしている人は誰もいない。 部屋で寝ているのもなんだから、陸も外に出てみたという事だ。 「そういえば……」 陸は晴天の空を見上げながら呟く。 「このは……元気かな」 空を見ながら考えていたのは今は外国にいる桜木このはの事。 約数週間前に家庭の事情でスイスに旅立った知り合いの女の子。 出会ったのは四月の初めで分かれたのは五月の初め。 時間にしてはたった一ヶ月あまり。 関われる時間はとても短かった。 それでも沖田陸という少年の日常を少しだけ変えた少女。 彼女は今、スイスでどうしているのだろうか。 そんな事を思いながら視線を空から正面に戻す陸。 「ん?」 そして陸は目の前の建物に驚く。 建物の門にはしっかりと『桜塚学園』という文字が刻まれている。 目の前にあったのは陸自身と知り合いの通っている学校だったからだ。 いつも陸は家の近くからバスでココまで通学する。 バスを使わないといけないくらい遠くにある学校が今、目の前にある。 いつのまにか自宅から遠くまで歩いて来てしまったらしい。 このはの事を思い出しながら歩いていたからだろうか。 彼女と出会ったのも、学校に咲く桜の木の下だ。 学校まで来てしまったので、その桜を見に行くのも悪くない。 残念ながら、その桜はこのはがスイスに旅立ってから三日後ぐらいに散ってしまったが。 そんな事を考えながら陸は学校の中に進入する。 目的の桜は学校の中庭にあった。 この桜には伝説があり、この桜の下で出会った二人は運命的な恋に落ちると言われている。 なので、この桜は『恋桜』と呼ばれている。 眉唾物の話ではあるが、陸はあながち間違いではないと思っている。 何故なら、桜木このはと出会ったのもこの『恋桜』の下だからだ。 陸はその時にこのはが言った言葉を思い出す。 一つ、予言してあげる きっと君は――私に恋をするよ 「恋……か」 その時の言葉を思い出しながら陸は呟く。 彼女はそう言ったが、陸は自身が恋をする気持ちが芽生えたのかは分からない。 それを知る前にそれを言った少女はスイスに行ってしまった。 中庭へと向かいながら陸は考える。 他人に恋をする感情が自身に存在するのかと。 そうこうしている内に陸は中庭へと辿り付く。 「えっ……?」 陸は目の前にいる光景に唖然とする。 何故か花は散ったはずの『恋桜』に花が咲いていた。 普通の桜の様に淡い紅色ではなく、幾つもの色が入り混じったような色をしていた。 そう。あえて例えるのなら、万華鏡か虹を思わせるようなそんな色。 まるで白昼夢を見ていると感じさせるような幻想的な風景。 そして中庭の『恋桜』の前で二人の女性が向かい合うように立っている。 一人は蒼の長い髪を一本の三つ編みにし、春も終わりに近いのに蒼いコートを着ている。 もう一人は黒い髪の左右をピンクのリボンで縛っていた。 「……このは……?」 彼は『恋桜』の前にいる少女の一人が誰か知っていた。 それは五月にスイスへ親の都合で言った桜木このは。 何故、彼女がここいるのだろうか。 蒼い女性とこのはらしき女性が会話をしている。 口を開く蒼い女性。 「――」 距離があるからか、それとも声が小さいからか上手く聞こえない。 このはらしき女性は頷く。 「――」 そして頭を下げる。 蒼い女性はこのはらしき女性に微笑む。 二人は手を差し出し、その手を触れ合わせる。 手を合わせながら蒼い女性は何かを呟く。 「Das ist ein Versprechen. Sagte ich. Embracing mir bitte Ihre Liebe. Ich möchte, dass sie handeln im Konzert. Sie können das Wohlbefinden ist ein Wunder. Sie fungieren als Köder und die Wahrheit」 辺りから光の粒が無数に巻き上がる。 それは光の乱舞であった。 思いつく限りの色彩。いや、それ以上の光が辺りを満たす。 光は『恋桜』を中心に渦を巻きながら広がっていく。 それは桜の花が空を舞いながら散るさまを思わせた。 目の前に広がる光景の真偽を確かめる為に陸は慌てて瞼を擦る。 突然、強い風が吹き荒れる。 しかし何故かその風は枝だけを揺らした。 その代わり、風と共に花弁らしき物が発光しながら纏わり付き、陸は視界を奪われる。 陸は吹き付けてくる風と発光する花弁を防ぐために片腕で顔を覆う。 光が収まっていき、陸は顔を覆っていた腕を下ろす。 そしてまぶたを擦りながら目の前を見る。 すると『恋桜』の前にいたのは女性一人だった。 風が吹いていたはずなのに陸の服や髪は全く乱れてはいなかった。 服にも何もついていない。 どうやら陸の気のせいだったらしい。 『恋桜』の前にいた女性は陸の存在に気づく。 そして陸の方へ歩み寄ってきた。 「こんにちは」 「えっ。あっ。こんにちは」 挨拶してきた女性に陸はどもりながらも挨拶を返す。 女性は陸に質問する。 「君……ここの学生さん?」 「あっ! はい」 陸の返答に女性は苦笑いをし、片目を瞑りながら言った。 「すまないけど、私がここにいた事は黙ってくれない? ここの街の人に『恋桜』を勧められて見に来ちゃっただけだから」 女性の眼は青空や海を思わせる様な深い蒼色をしていた。 「はぁ……分かりました」 「ありがとう!」 頷く陸に女性は笑顔を浮かべ、両手を掴んで激しく上下に振る。 「じゃあ、代わりに名前を聞いても良いですか?」 「良いよ。私は雪奈。長月雪奈」 女性は雪奈と名乗り、陸に笑顔を浮かべている。 「……で、君はここで何をしているんですか?」 「ちょっと桜を見に……」 陸の答えに雪奈は眼を細める。 「君は面白いね。咲いている桜ならともかく、花が散ってしまった桜の木を見に来るなんて」 「ある知り合いと初めて……そう言う長月さんもおかしいですよ。勧められたとは言え、散った桜の木を見に来るなんて」 眼を細めながら見つめてくる雪奈に陸は普通に返す。 「いやね。私の知っている桜の一つに他人の願いを叶えてしまう枯れない桜があってね~。これもそうかなと思って見に来たんだよ~」 「はっ。はぁ……」 雪奈の言葉に困惑する陸。 枯れない桜を言うのは陸も聞いた事があるが、他人の願いを叶える桜の話は聞いた事が無い。 もしそんな物があるとすればそれは魔法の樹であると言えるだろう。 目の前にいる雪奈という女性はオカルト研究会の部長と同類なのだろうか。 困惑する陸の顔を見ながら雪奈は笑いながら問いかける。 「君は――魔法使いは信じるかな?」 「……はい?」 その言葉で更に困惑する陸。 いきなり魔法使いの存在を信じるか聞かれるとは思わなかった。 冗談を言うにしては声や目が真剣すぎる。 陸を見る雪奈の目はまるで心の底まで見透かしているようであった。 白昼夢かもしれないが、ついさっき見た幻想的な光景の事もある。 そして雪奈の立ち振る舞いや言動をどこかで見た事があった。 確かに目の前の女性とは陸は初対面であった。 しかしその言葉と雪奈の仕草が陸にデジャビュを感じさせた。 思い出そうとしたとき、一陣の風が陸の頬を撫でた。 その瞬間、陸の脳裏にある光景が思い浮かぶ。 己の存在を誇示するかのように、満開に咲き誇る一本の桜。 まるで心の奥底まで見透かすような感じの真摯な眼差しをする少女。 桜が咲き乱れる中で訪れた春の嵐。 陸はそこで思い出す。 このはと初めて出会った時とよく似ている。 思い出した時、陸は深く考える。 何故、目の前にいる雪奈とこのはが似ていると感じたのだろうか。 立ったまま考えに耽る陸に雪奈は苦笑に似た微笑を浮かべる。 「ふふ……冗談だよ。私は初対面の人に突拍子も無い質問するのが好きなんだ」 微笑みながら答える雪奈。 雪奈の言葉に陸の肩の力が抜けた。 「どうやら君を驚かせてしまったようだね。お詫びとして、君を家まで送っていこう」 「えっ。良いですよ……」 「他人の好意は取って置くものだ」 微笑みながら雪奈は陸の肩を掴み、校門へと引きずっていく。 強引に引きずっていく雪奈の態度に陸はこの学校の生徒会長が脳裏に浮かんだ。 「はい。どうぞ」 校門のそばに一台のバイクが置いてあった。どうやら雪奈のものらしい。 雪奈はバイクにまたがり、陸にヘルメットを投げる。 陸は投げられたヘルメットをかぶり、雪奈のお腹に腕を回した。 暖まったエンジン掛け、またがっているバイクを走らせる雪奈。 バイクの後輪が地面を掴み、重低音を出しながら進む。 景色が流れ飛び、走る事によって絶え間なく吹き抜ける風が気持ち良くて心地良い。 「家ってどこぐらい?」 「学校のバス停から五個目のバス停で、そこから少し入った所です」 風にかき消されないように大きな声で答える陸。 「ふむ……私の事務所の近くだな」 「長月さんは何のお仕事をしているのですか?」 ちょっとした興味で陸は雪奈に訊ねた。 隣のアパートに住んでいる春奈は漫画家をしている。 なら目の前でバイクを運転する女性はどうなのだろうか。 風貌からすると明らかに普通の会社で働いているような感じはしない。 雪奈は楽しそうに答える。 「探偵だよ~。困った事があれば、何でも相談するが良いよ」 「……探偵ですか……」 普通の会社で働くOLではない事は想像出来ていたが、探偵と言う回答は想像出来なかった。 風の音がうるさい中、雪奈は陸に質問を返す。 「この街で割りと有名な『恋桜』の下であった知り合いと言うのは……恋人ですか?」 「なっ!」 顔を真っ赤にしながら驚く陸。 どうやらしっかりと聞かれていたらしい。 驚く陸に雪奈はケタケタと笑う。 「恋をする事は悪くないよ。若人さん♪」 「ちっ……違いますよ」 真っ赤な顔で否定する陸。 その顔では説得力が全く無い。 「さあ、どうだか?」 やはり雪奈も信じていないらしく、悪戯っぽく笑っている。 「ほら。「命短し、恋せよ乙女」というじゃないですか」 「恋人でもなくて……というか、自分は男ですよ!」 反論する陸に雪奈はケタケタと笑いながら話を続けた。 「ほら、君は女の子みたいに可愛い顔をしているからね。本当に違うのですか?」 「違いますって!」 「はいはい」 そんな会話を繰り返しながらバイクは街の中を走る。 しばらく走って、バイクは陸の家の側まで来た。 「あっ。ここが自分の家です」 雪奈はバイクを止め、陸の家を見ながら呟く。 「ここが陸君の家か~。私の事務所の二つ隣だね」 「はい……?」 少し驚いた顔をする陸に雪奈は微笑む。 そして陸の家から二つ隣の建物を指差す。 「あれが私の事務所。最近、引っ越してきたんだよ」 「へぇ……」 驚きの声を上げる陸に雪奈は笑顔で言った。 「まあ、これからよろしくお願いします」 「はい」
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登録日:2011/05/15(日) 22 32 54 更新日:2024/04/22 Mon 20 43 58NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 OVA化 ゲボラ ダメな大人の万国博覧会 ビジネスジャンプ フラッシュアニメ ブラックユーモア モエ山ナエル ラーメンザーメン 七割位オチが一緒 世にも奇妙な漫★画太郎 中井和哉 名塚佳織 地獄絵図 大どんでん返し 時事ネタ多し 漫☆画太郎 漫画 社会風刺 緒方賢一 豪華声優陣 郷里大輔 集英社 世にも奇妙な漫★画太郎は、かつてビジネスジャンプにて連載されていた漫☆画太郎作のエログロ漫画。 【内容】 とにかくエログロシーンのオンパレード。基本的にはバッドエンドが多いが、グッドエンドも僅かに有る。 【主なストーリー】 ■ケータイムマシーン 内容:通学途中、女の子は未来人を自転車でひき殺してしまった。その未来人は携帯電話型のタイムマシーンを持っていた。 試しに「1192」と押すと、鎌倉時代にタイムスリップしてしまった…! ■浮気 内容:釣りに行くと言っては、別の女と浮気をしていたダンナさん。浮気相手はわざと、日本海では捕れない魚を買っていた。怒ったダンナさんは…。 ダンナの子供「わ〜人魚だ〜!!」 ■ピース 内容:脱線事故現場でピースした若者は、脱線事故で亡くなった人達の霊にとりつかれ、ピースピース!しかもヤクザの葬式会場に来てしまった。 ■柿の木の恩返し 内容:ジジイとババアの家の柿の木はわざとお隣さんを怒らせて…。 ■ストーカー 内容:ストーカーは一人のOLの部屋を覗き見していた。すると、OLの部屋に強盗が…。 ■孫思いのおっちょこちょいババア 内容:オレオレ詐欺団は孫を装い、ババアに現金を振り込む様に電話をかけた。そしてババアは…。 ■正夢 内容:土木工事で働く男は、宝くじで大当たりする夢を見て…。 ■引きこもり 内容:10年以上引きこもりを続けた青年は、「アウトドア派なんて無くなれ〜!!」と叫ぶ。すると、世界が逆さまになっちゃった!? ■ゲームNO 内容:ゲームのやり過ぎで、勇者なりきり病にかかってしまった少年。ふとした事で昏睡状態に陥り、数年ぶりに目覚めると、世界がドット絵になっていた。 ■ゲボラ 内容:ラーメンザーメンのラーメンを食って帰って来た、三人の息子を持つオヤジ。しかし、ラーメンザーメンの鍋底から、ゲボウイルスに感染したラットが発見されたとのニュースが…。 ■週刊漫画 内容:僕の彼女は肉便器の絵柄が一週毎に違う。萌え→萎え→萌え→萎え…。 実はモエ山とナエルが交代で書いていたのだった。 実は萌え絵と萎え絵をそれぞれ書いていたのは…。 ■ハッピーバースデー 内容:画太郎は料理がクソマズイレストランの、良心的なエロサービスを目撃する。しかも誕生日限定。早速画太郎は、息子の子太郎の誕生日の日に、子太郎を連れてその店を訪れるが…。 因みにダンサー達のダンスシーンにおけるパフォーマンスは、首から下迄何まで、ストリップババアの使い回しで有る。 ■花咲かミュージシャン 内容:売れないストリートミュージシャンの女の子は、ある日一匹の子犬に出会う。翌日、子犬を使ったパフォーマンスはかなり受けていた。 しかし、それを一人のライバルが妬んでいた…。 また、幾つかの話(「ランドセル」等、主に可愛い女の子が活躍する回)がなかなか単行本に収録されなかったが、とうとう収録されないまま最終巻を迎えた。 全裸待機していたファンを唖然とさせたが、後に秋田書店の「画太郎先生だぁ〜い好き」にまとめて収録された。 ♪ハピバースデートゥーユー、ハピバースデートゥーユー ハピバースデーディア子太郎くん ハピバースデートゥーユー さあ、追記・修正して▼(ガバァ) △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] グロはいいけどスカはきつい -- 名無しさん (2013-12-26 01 01 29) 名前 コメント
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ジョジョの奇妙な冒険 661 名前:水先案名無い人 :05/02/17 18 54 43 ID Yeobb6ssO 携帯だからまとめサイトが見れない苛立ちのため、ガイシュツだろうが全スタンド使い入場を投下する! 662 名前:水先案名無い人 :05/02/17 18 55 43 ID Yeobb6ssO 全スタンド使い入場!! 吸血鬼は生きていた!! 百年の時を越え初代JOJOの肉体が甦った!!! 世界 時よ止まれ!! DIOだァ――――!!! イタリア料理はすでに私が完成している!! パールジャムトニオ・トラサルディーだァ――――!!! 館に入り次第執拗に追跡して抹殺してやる!! 殺戮追跡マシン ペットショップだァッ!!! 接近しての斬り合いならこのスピードがものを言う!! 甲冑外しの七体分身 銀の戦車 J.P.ポルナレフ!!! 真の人生哲学を知らしめたい!! 一位より二位の皇帝 ホル・ホースだァ!!! 能力欄は四つがCだが強請りに使うならこいつが一位だ!! 元汚職警官 レオーネ・アバッキオだ!!! アバ茶対策は完璧だ!! 金髪のコロネ ジョルノ・ジョバァーナ!!!! 全スタンドのベスト・ディフェンスは私の中にある!! なめやがってクソックソッが来たッ ギアッチョ!!! 腕相撲なら絶対に敗けん!!空間ごと削り取ったる バカ高校生 虹村億泰だ!!! バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!! 下水道のピュア・スナイパー ドブネズミだ!!! エジプトから炎の支配者が上陸だ!! 魔術師の赤 モハメド・アヴドゥル!!! ルールのある取り立てがしたいからスタンド使いになったのだ!! プロの取り立てを見せてやる!!マリリンマンソン ミラション!!! めい土の土産にジョースター一行とはよく言ったもの!! その暗黒空間が今 実戦でバクハツする!! 亜空の瘴気 ヴァニラ・アイスだ―――!!! グリーンドルフィン刑務所懲罰房チャンプこそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの男がきてくれるとはッッ ヴィヴィアーノ・ウエストウッド!!! 闘わせたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!! 刑務所のサバイバー グッチョだ!!! オレたちは小銭収集役ではない大金持ちになるためのスタンドなのだ!! 御存知収穫 矢安宮重清!!! ギャンブルの本場は今やエジプトのバーにある!! オレをビビらせる奴はいないのか!! ダービー兄だ!!! ハヤァァァァァいッ説明不要!! 宇宙一巡!!! 無限の加速!!! エンリコ・プッチだ!!! スタンドは暗殺で使えてナンボのモン!!! 正統派暗殺スタンド!! イタリアパッショーネからグイード・ミスタの登場だ!!! 康一君は私のもの 邪魔するやつは思いきり縛り思いきり髪を埋め込むだけ!! 思い込み統一女王 山岸由花子 自分の運を試しにきたッ!! ボーイⅡマンじゃんけん小僧 大柳 賢!!! 覚悟に更なる磨きをかけ "マンモーニ"ペッシが帰ってきたァ!!! 半径20メートルエメラルドスプラッシュに死角はないッッ!! 法皇の緑花京院 典明!!! エジプトの歴史創世の書が今ベールを脱ぐ!! Jブックス三部小説版から 書記アニだ!!! ペッシのためならオレはいつでも老人だ!! 名前は生ハム プロシュート兄貴 本来の姿で登場だ!!! 医療ミスの罪状はどーしたッ 殺人カビ 未だ消えずッ!! 分離も合体も思いのまま!! チョコラータだ!!! 特に理由はないッ 髪を貶されるとキレるのは当たりまえ!! お母さんにはないしょだ!!! そびえ立つリーゼント! 東方 仗助がきてくれた―――!!! 暗黒街で磨いた眼力!! 第三部のデンジャラス・ワンコロ イギーだ!!! 変質者だったらこの人を外せない!! 超A級殺人犯 吉良吉影だ!!! 超一流大学中退の超一流のド低脳がッだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ 百科辞典で滅多打ち!! パンナコッタ・フーゴ!!! オラオララッシュはこの男が完成させた!! ジョースター家の切り札!! 空条承太郎だ!!! ヘタレ王者が帰ってきたッ 何回死んでいたンだッ パッショーネ創始者ッッ 俺達は君を待っていたッッッディアボロの登場だ――――――――ッ 関連レス 665 名前:水先案名無い人 :05/02/17 21 18 19 ID 96xE6IhK0 ムチャシヤガッテ…GJ 666 名前:水先案名無い人 :05/02/17 22 28 28 ID 9KcdlEhG0 スタンド使える主人公の中でジョセフだけいない(´・ω・`) でもシメがよりによってのボスなのにハゲワラタ。 667 名前:水先案名無い人 :05/02/17 22 48 42 ID wcAaTqNj0 ジョーリンも居ないぞ。 668 名前:水先案名無い人 :05/02/18 00 04 47 ID HXoOQSxq0 おいおい・・・兄貴がいないじゃないか。 って、多すぎて選ぶのも大変だよな。GJっす。 669 名前:水先案名無い人 :05/02/18 02 00 54 ID gHnYYYQW0 当然、夜叉猿ポジションはオランウータンだよな! 670 名前:水先案名無い人 :05/02/18 08 18 29 ID hCasSqY+0 ジャンケンは運ではないッ! 勝ちたいという『意志』の力だッ! 671 名前:水先案名無い人 :05/02/18 11 39 54 ID iaousbUa0 サバイバー… コメント 名前
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空条承太郎 18 014 クレイジー翼 - 098 空条承太郎の見解 ◆OM4GtB6KG. 156 最強の厚着 ◆lEaRyM8GWs 173 乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ 267 乱→狂【みだれのちくるい】 ◆jcasZ9x.B2 288 魁!!キャプテン翼の奇妙な冒険 ◆saLB77XmnM 292 魁!!キャプテン翼の奇妙な冒険~炎の瞳~ ◆kOZX7S8gY. 295 混沌体験//~序章~ ◆Oz/IrSKs9w 313 混沌体験//~空条承太郎はクールな仲間が欲しい~ ◆2XEqsKa.CM 318 集う男達 ◆kOZX7S8gY. 330 受け継がれる魂 ◆bV1oL9nkXc 340 大型殲滅兵器“ジーニアス”による被害報告 ◆saLB77XmnM 359 ヒーローになろう ◆bV1oL9nkXc 373 死神なんかじゃない ◆kOZX7S8gY. 399 『偽りの友情』に反逆せよ ◆kOZX7S8gY. 417 「放送前のちょっとした出来事(前編)」 ◆6xc12amlNk 424 見えない未来へ ◆PN..QihBhI 439 風 ◆SD0DoPVSTQ DIO 21 005 闇の帝王vs最強の馬鹿 ◆lEaRyM8GWs 064 宇宙最強の男VS悪の帝王 ◆QXU.Tc2.M2 076 機人夜襲 ◆QXU.Tc2.M2 129 帝王雌伏 ◆Wv7hRKzBHM 159 悪のカリスマ ◆HDPVxzPQog 197 氷の精神 ◆HDPVxzPQog 263 悪魔始動 ◆kOZX7S8gY. 290 DIOの世界~予兆~ ◆PN..QihBhI 315 弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. 334 吸血鬼と吸血姫、そして怯える少年 ◆B042tUwMgE 344 恋する少女は盲目で友達の声も耳に入らないの ◆kOZX7S8gY. 357 ニアミスの朝 ◆14iGaWqIZs 377 暗雲に包まれし世界 ◆saLB77XmnM 381 Wheel of Fortune ◆HDPVxzPQog 396 The Rain Heals A Scar ◆7euNFXayzo 401 暗い森 ◆pKH1mSw/N6 403 愛をとりもどせ!! ◆kOZX7S8gY. 418 ヨルヨルユカイ ◆BfiYd9.rFo 433 その星は誰を照らす ◆YR7i2glCpA 435 命の炎 前編 ◆YR7i2glCpA 437 命の炎 後編 ◆YR7i2glCpA リサリサ 9 057 闇と光の中で ◆4LQa/CzMzU 091 夜明け前 ◆1SRHufSimc 157 機人流浪 ◆Oz/IrSKs9w 159 悪のカリスマ ◆HDPVxzPQog 233 宿命と血統 ◆HDPVxzPQog 284 女の戦い ◆HDPVxzPQog 296 白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w 312 ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE 321 少女の選択 ◆7euNFXayzo ブローノ・ブチャラティ 15 030 赤木晴子について ◆eOk8ASmJiQ 125 プリンと宝石 ◆Wv7hRKzBHM 145 甘い果実 ◆SD0DoPVSTQ 158 ブチャラティvsガラ前編 ◆PN..QihBhI 172 ブチャラティvsガラ 後編 ◆PN..QihBhI 265 日伊ゴロツキ対決!!ギャングvsヤンキー ◆HDPVxzPQog 269 眠れる奴隷達 ◆HDPVxzPQog 295 混沌体験//~序章~ ◆Oz/IrSKs9w 313 混沌体験//~空条承太郎はクールな仲間が欲しい~ ◆2XEqsKa.CM 318 集う男達 ◆kOZX7S8gY. 330 受け継がれる魂 ◆bV1oL9nkXc 340 大型殲滅兵器“ジーニアス”による被害報告 ◆saLB77XmnM 361 共同戦線~武道家VS能力者~ ◆kOZX7S8gY. 372 狂わぬ指針が生む出会い ◆7euNFXayzo 383 インフェルノ ◆Oz/IrSKs9w
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ジョジョの奇妙な東方 ~FF・of・fate~ 第16話:人間が好きな妖怪 その④ 手紙を橙と一緒に見てしまったのは失敗だったッ・・・!! 藍は飛び出してしまった橙を追いかけつつ唇を噛んだ。 あの後、手紙を読んだ藍は橙に当分のマヨヒガからの外出を禁じた。【手紙の内容】が正しいとしたら橙に危害が及ぶと考えたのだ。だが、藍は失念していた。 橙は他人を放っぽって自分だけ安全な所にいるような子ではない事を。藍が気付いた時にはすでに屋敷を飛び出してしまった後だった。 スピードこそ藍の方が上だが、橙は小回りが利く。橙より先に寺子屋へ行く事は難しいだろう。だが、行かなければ・・・【あの手紙】の内容がもし全て真実なら・・・ 「私やあの半妖ならともかく・・・橙は死んでしまう・・・ッ!」 走りながら手紙の内容を思い出す。 『慧音の所のガキが特殊な能力を持っているらしい。まぁ、それ事態は別にどうでもいい。実際そんなもん珍しくも何ともねェからな。だが、【問題】は【その事実を隠している】という事がバレちまったてェこった。 【隠す】ってェ事は【隠されたほう】から見りゃあ気分のいい事じゃあねェ。ソイツは【不安】を生んで【疑惑】を生むってーのはわかるな?元々あの寺子屋によくない感情を持ってるヤツがいたってーのが悪かったンだ。 ソイツが周りの連中そそのかして寺子屋へ焼き討ちにいくらしい。』 「急がなければ・・・橙・・・」 藍自身も妖怪・・・と言うより妖怪と仲良くしようとしている人間を嫌う人間がいることは知っていた。だが、まさかここまで過激な連中とは思っていなかった。 連中はスペルカードルールなど知った事ではない。スペルカードルールに則った戦い方しか知らない橙では・・・ 「もし・・・もし橙に何かあったら・・・ッ!」 最悪の展開が頭をよぎり、それを振り払うようにスピードを上げる。 「その場にいる全員を殺してやるッ・・・!」 「あの大人を守るだッ!ハーヴェストォッ!」 重ちーには理解が出来なかった。 自分の知っている大人達が睨み合っている事が。妹紅と知らない人が村の人間に攻撃を仕掛けようとしている事が。 だが、理解できることもある。唯一見たことのない女が指を村の人間に向けている。アレは【攻撃】だッ!守らなければッ! そう考えた時、既に体が動いていた。己のスタンドを数体、盾にしたのだ。ハーヴェストは群体型のスタンドだ。数体潰れた位では何ともない。 「何を考えてるだッ!アンタが何なのかは知らないけれど、ココで村の人を攻撃するのは【ルール】違反だどッ!」 村の人間達を守るように女――重ちー自身は知らない事だが、教師のFFである――の前に立ちはだかる。妖怪なのか【能力】を持った人間なのかはたまたスタンド使いなのかは知らないが、【幻想卿】に住んでいる以上は【ルール】 に従わなければならない事ぐらいは知っているはずだ。それでも村の人間を攻撃する、と言うのであれば自分が相手になってやるッ! そう目で訴えながら油断なく三人を睨みつける。 「重ちー・・・?」 「【重ちー】?じゃあアイツが矢安宮重清か!」 慧音の声に気付いたFFが正面のスタンド使いの名前を知る。名前からして外の人間だろうとは思っていたが、まさかスタンド使いだったとは・・・ しかも先程のFF弾をスタンドで防いで無傷だったところを見ると【群体型】、しかもかなりの数のはずだ。だが、この寺子屋の従業員ではなかったのか・・・? そこまで考えたところでFFは奇妙な事に気付いた。もしスタンドを発現させているならば自分の目に見えるはずだ。だが、【見えてない】・・・? 「重ちー!何を勘違いしてるか知らないが・・・」 「止まれ妹紅ッ!アイツ、もうスタンドを【ばら撒いてる】ッ!」 重ちーを連れ戻す為に歩み寄ろうとした妹紅を慌てて止める。 妹紅には見えないが、彼女の足に無数の【小さな何か】が張り付いているのがFFには確認できる。【ハーヴェスト】の射程はわからないが恐らく自分のいる場所も【射程内】であるだろう・・・ 群体型で長い射程・・・そして複数がかりではあるがFF弾を止めるだけのパワー・・・なんつースタンドだ・・・ だが、FFですら【忘れてしまっていた】。本来、注意すべき【敵】が一体【誰であるか】を。 手を広げ、村の人間達を守ろうとした【重ちー】に振り下ろされようとしている【何か】に気が付いたときは既に遅かった。 ドボォオオ! という鈍い音がしたかと思うと、まるでスローモーションでも見ているかのようなゆっくりとしたスピードで重ちーが崩れ落ちるのをそこにいる全員が眺めていた・・・ 「重ちぃイイイ!?」 真っ先に反応したのは、やはり慧音だった。慧音の持つ能力は【歴史を食べる程度の能力】。重ちーが生きているうちに『重ちーが殴られた』という【歴史】を喰えば、その【歴史】はなかったことにできる! そう思い飛び出そうとした慧音を止めるものがいた。重ちーを角材で殴った村人である。初めて人に重症を与えたのだろうか、完全に錯乱してしまっている。 「うっ・・・動くんじゃねェエエ!」 「何を言っているッ!?すぐに治療しないと重ちーは助からないんだぞッ!!」 「う・・・うるせェッ!こっこのガキが、み、妙な力持ってンのは知ってるンだッ!そ、それで何を企んでやがるッ!?」 「何も企んでなどいない!頼む!重ちーを助けさせてくれッ!」 「うっうっ動くなつってんだろォがぁ!」 涙を浮かべた慧音の言葉にも耳を貸そうとしない。というより、聞こえていないように見える。 こうしている間にも重ちーがどんどんと衰弱していっている。死んでしまってはいくら慧音やFFであっても生き返らせる事などできない。だが、今無理にでも動けば目の前の男は倒せてもきっと他の村人が重ちーに何らかの危害を加えるだろう・・・ そこまで考えていたFFは不意に隣にいた妹紅の辺りの温度が異常なまでに上がっているのに気が付いた。見ると、妹紅の背中からまるで鳳凰のような炎の翼が広がっている。 FFよりも先に堪忍袋の緒を切らしていた妹紅の怒りが最高潮に達していたのだった。 「勝手な思い込みで・・・手前の勝手な不安で・・・自分を護ろうとしてくれた重ちーに危害を加えておいて・・・言うに事欠いて『何を企んでいる』だァ・・・?ふざけるのも大概にしろよ貴様等・・・」 妹紅の炎はどんどん強くなっていく。炎が爆ぜ、己の体すらも焦がしていく。それでも、妹紅の怒りは収まらない。 「手前等、どうやって読み書きを覚えたんだ?どうやって計算を学んだ!?大妖怪が【ルール】を作るまで誰に護ってもらったッ!?貴様等の親もッ!!その親もッ!!」 炎に怯えたのか、村人達は少しずつ離れていく。その隙にFFと慧音は重ちーを連れ戻す事が出来た。 重症ではあるが、まだ生きてはいる。歴史を喰うには時間がかかるらしいので応急処置として、フー・ファイターズを詰めて治癒を早めておく。だが、万全ではない。 妹紅は重ちーが助け出されたのを確認すると、ゆっくりと村人達に向かって歩んでいく。妹紅が歩いた分だけ村人達は下がっていく。振り出しに戻った形ではあるが、今度は脅すだけで済ますつもりはない。 「そりゃあな。手前等は何の能力もない一般市民だろうよ。妖怪やら妖精やらを恐れる気持ちはわかるし、信じたくねェって気持ちも理解できるさ・・・だがな。人里で暮らしている妖精や妖怪が手前等に何かしたか!?物を盗んだか!?何かを傷つけたか!?人を殺したかッ!?」 妹紅は、人として生きる上で最も大切な事は【信頼】であり、最も忌むべき事は【侮辱】であると思っている。今でこそ不死者となってはいるが、それでも考え方は変わっていない。それは人として大切なことだと思っているから。 だが、目の前の人間達は慧音の彼等に対する【信頼】を【侮辱】した。彼女自身にとって、最も許せない事をしたのだ。 「ここに来た目的もどうでもいい。さっきも聞いた事をもう一度聞く。私達にソイツを向けるって事は【攻撃されるかも知れない】っつー【覚悟】をしてここに来たんだよな?」 背中の炎が膨れ上がる。もうそろそろ限界だ。後は目の前の愚か者共に向けるだけ・・・死ぬ事こそないだろうが、無事ではすまない。恐らく重ちーと同程度の重症を負う事になるだろう。 「やめろ妹紅!重ちーは助かったッ!後は話し合うだけだ!」 FFの言葉にも耳を貸さない。それほどまでに怒り狂っているのか、それとも能力が暴走しているのかこの位置からでは判断できない。 そして、妹紅の炎が膨れ上がった・・・ 『彼』が妖怪を憎むようになったのは、ある意味では自業自得の事であった。 『彼』は昔から妖怪の山へしょっちゅう山菜狩りをしに行って生計を立てていた。その事をしてはいけないとは知っていたが、【楽にたくさんの金が取れる】という目先の欲に囚われていた『彼』は気にすら留めていなかった。 結果として妖怪の山の天狗達に見つかってしまい、喰われることこそ逃れたものの足を撃たれ、二度と山に登る事が出来なくなってしまったのだ。 そんな『彼』を、村の人々は同情こそしたが助ける事はしなかった。ある意味では当然とも言える結末に『彼』は納得しなかった。 何故、自分がこんな状態にならなければならないのか・・・決して自分のせいじゃない・・・【たくさんある中から】少しだけ山菜を【貰った】だけだ。別に危害を加えたわけじゃない・・・なのに何故、村の連中は自分と同じ気持ちになってくれないんだ・・・ そうか、誰もが妖怪の事を【恐れている】から【何も言えない】のだ!本当は自分達だって山に行きたいに違いないッ! 当然ながらこの理論は身勝手な【エゴ】であり、【思い込み】に過ぎない。だが、【思い込み】も思い続ければ本人の中では【真実】に成り代わる。 そして、『彼』は待ったのだ。【人間の味方をする妖怪】が【何らかの己を危険に晒すモノ】を持つのを、ただひたすらに。 その結果として、【上白沢慧音】は【矢安宮重清(ハーヴェスト)】という【モノ】を持ってしまった。 『彼』は天狗達に襲われた教訓を生かし、慎重に動いた。【慧音】のそばには【藤原妹紅】がいる。アレは自分達に対して容赦はしないだろう。ならば正面から行くのは得策ではない。 幸い『彼』以外にも妖怪にいい感情を持っていない者は何人もいる。その連中をそそのかし、学校を襲わせたのだ。 当然ながら、襲った連中は無傷では済まないだろう。だが、【寺子屋】は【子供たちだけになる】。 「オレは・・・オレは、【英雄】になるんだッ!この【寺子屋】を壊して・・・妖怪を追い出して・・・ガキ共はッ!尊い【犠牲】になって貰うッ!」 巨大な爆発が起きた!だが、妹紅ではない。もっと【後ろ】だ。FFや慧音よりも。 まさかッ!? 「なんだとォオオオッ!?」 叫んだのは一体誰だったのか。それすらもわからなかった。 【寺子屋】が!【燃えている】ッ! 決して大きいとは言えない校舎から火の手が上がっていた!何故今まで誰も気が付かなかったのかッ!? 「まさか!?お前等かッ!?【お前等のうちの誰か】が寺子屋に火をつけたのかッ!!【子供達もいるというのに】!?」 FFの叫びに村人達は反応する。 だが、FFの予感していたモノとは【全く違った反応】だった。まるで、【騙されていた】とでも言うような。 「何だってッ!?【子供がいる】ってーのはどういうことだッ!?」 「ってーことはウチのガキも中なのか!?」 「【子供達は今日は寺子屋にいない】んじゃあなかったのかよぉ!?」 【子供たちは今日は寺子屋にいない】・・・?妙な言葉が聞こえたが、どうやら【こいつ等の中】で【今この場にいないヤツ】が犯人という事か・・・ FFはそう思ったが、今はそんな事を考えている場合じゃない!今は中にいる早苗や子供達を助け出すのが先だッ! 「妹紅ッ!」 「わかってる!慧音ェ!近くの井戸から水を持ってきてくれッ!手前等も自分のガキが大切なら慧音を手伝えッ!」 呼んだときにはすでに妹紅は走り出していた。矢継ぎ早に叫ぶと、木製の扉を蹴り開け中へと入っていった。FFもそれに続く。 残された慧音は重ちーの様子を見、大丈夫である事を確認すると少し離れた茂みへ重ちーを寝かせる。そして、村人達の正面へ歩いていくと正座の姿勢を取り、頭を下げた。 「重ちーが【ハーヴェスト】を隠していたのは私の指示だ。だから私を殴るなり、追い出すなり好きにしてくれていい。だが今は。今だけは、子供達を助けるのを手伝ってくれ!頼む・・・」 村人達の答えは当然ながら、イエスであった。 自分自身すっかり忘れていたが、水がないと単なる微生物の集まりなんだよな私・・・と、今更ながらにFFは己の存在を再確認していた。 子供たちが怪我をしていた時のために水分を温存しておかなければならないFFは臍を噛みながら妹紅に付いていっていた。妹紅は行く手を塞ぐ障害物を殴り抜け、蹴り壊し、弾幕で破壊しながらロードローラーのように進んでいく。 「FF!さっきまで授業やってたのはどの教室だッ!?」 「一〇八だ!一番奥ッ!」 「面倒臭ェな!」 「慧音に言ってくれ!割り振りしたのはアイツだッ!」 「慧音なら仕方ねェな!」 「何でだ!?」 役に立ててない悔しさを感じ取っているのだろうか、破壊しながら妹紅が話しかけてくる。 彼女自身にとっては当たり前の事だろうが、FFにはそれがたまらなく心地よく感じた。それが彼女の魅力なのだろうか? 「アレか!?一〇八!」 「ブチ割れッ!妹紅ッ!」 「おぉよ!」 FFの言葉に景気良く叫んだ妹紅が思いっきり扉を蹴り飛ばす。そして、怪我人を見つけたらすぐに治せるようにFFが素早く入り込む。 入り込んだFFが見たもの。それは、 「あーうー?やっと来たみたいだね!遅かったじゃないの!」 何だかよくわからない帽子を被った子供が、室内で雨を降らせていた・・・ おかしい。何時まで待ってもガキ共のいる教室まで火が回ってねぇ・・・ 隣の窓からは既に火が出ているのに対し、子供たちがいるであろう教室には火どころか煙すら見当たらない。だが、所詮は人間である『彼』に中を確かめる術はない。 寺子屋が燃えて子供達が死ねば、村の連中は【上白沢慧音】を追い出すだろう。真相を知っている連中はきっと【藤原妹紅】によくて半殺し、最悪殺される。死んでいればそれでよし、死んでいなくても始末するのは難しい事じゃあないだろう。 そう考えていたのに、作戦が肝心なところで止まってしまっている。 「どういう・・・事だ・・・?まさか小屋の中にまだ力のある妖怪が隠れてやがったのか・・・?」 「おい!そこのお前ッ!何してるんだ!?」 悩んでいた『彼』の後ろから叫び声がした。 慌てて振り向くと、小柄な猫耳少女が睨みつけていた。橙だ。本来なら小屋の中にいるはずだが・・・ 「お前か・・・私の友達を傷つけようとしているヤツは!」 「確か、貴様は化け猫の・・・」 全身の毛を逆立てて今にも飛びかかろうとしている橙。 だが、コイツならば対処法は知っている。水をかけてやれば逃げ出すはずだ。冷静に対処すればいいッ! そう考え、『彼』は懐の水筒に手を伸ばした。だが、探しても水筒が見当たらない。おかしい。この猫と対峙する事を想定して水は持ってきていたはずなのに! 橙は今にも飛びかかろうとしている。焦ろうとする心を素数を数えて落ち着かせながら、注意深く懐を漁る。だが、出てこない!? 「くそッ!確かに持ってきた筈なんだ!水筒はッ!」 「『水筒』って言うのはコレのことかい?」 不意に上から声がしたと思うと、『彼』の頭に水がかかる。驚いて上を向くと、自分が持っていたはずの水筒を持った変な男が木の枝の上で胡坐を掻いていた。 アイツは確か、ウィル・A・ツェペリ・・・センドーとか言うよくわからない健康法を教えてる男・・・ 「健康法とは失礼な。仙道は呼吸法だよ。」 「まぁまぁ。波紋なんて最近の人間が知ってるわけないじゃあないの。」 憮然とした顔で言うツェペリに【『彼』自身の真後ろ】から声をかける者がいる。 慌てて振り向くと、真紅の服に身を包み、円状のしめ縄を背中に担いだ女性が妖艶な笑みを浮かべていた。 「さて、人間よ。面食らっているようだから名乗ろうか。我が名は八坂神奈子。妖怪の山の神兼博霊神社のピンチヒッターを勤めている。ま、お前達の一部は私を邪神と呼んでいるようだが・・・」 八坂神奈子!?妖怪の山の神!?何故そんなものがこんな所にいるッ!?理解不能!理解不能! 「私が呼んだのだよ。全く、早苗ちゃんには感謝しないとな。まさか【携帯電話】がこんな所で役に立つとは・・・」 完全に我を忘れている『彼』に親切に説明してやるツェペリ。その言葉も聞こえているのか聞こえていないのか・・・ 「さて、橙ちゃんの親も来たようだな。慧音にいらぬ疑いをかけられぬ様に私は橙ちゃんと説明しに彼女のところへ行くかな。橙ちゃん?」 「あ!ハイ!ツェペリさん!」 『彼』と同じように突然の出来事にポカンとしていた橙はツェペリの言葉に我に帰る。確かに耳を澄ますと遠くから「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」と言う敬愛すべき主の叫び声(鳴き声?)が聞こえてくる。 あの様子だと、放っておけばそこら辺の生き物全てを殺しかねない勢いだ。自分が行かないといけないようだ。橙とツェペリは掻き消えるように茂みへと姿を消した。 「あの妖狐にも困ったものだ。あの子もそろそろ自立して己の式を見つけてもいい頃だろうに・・・なぁ?」 二人が去っていった方を眺め、苦笑しながら『彼』に語りかける神奈子。その言葉に『彼』はようやく我を取り戻した。 逃げなければ・・・!逃げなければ、殺されるッ!この邪神に、殺されてしまう! そう考えて逃げ出そうとするが、足がもつれてうまく逃げる事ができない。しかも【殺される】という恐怖のせいか、昔天狗に撃たれた傷から激痛が走ってくる! 「さて、小便は済ませたか?神様にお祈りは?部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」 凄絶な笑みを浮かべた神奈子の顔を最後に『彼』の意識はプッツリと途絶えた・・・ 三日後。 何でも、FFと妹紅、慧音が出て行った後に妙に嫌な予感がしたのだそうだ。だからよく連絡がつかないからと携帯電話を持たせたツェペリに電話し、自分の山の神二人を呼んで貰った、と言うのがこの馬鹿馬鹿しい結末の理由なんだそうだ。 「なんつーか・・・私怪我し損って感じがするんだが・・・」 「あぁ・・・何か下らない三文芝居を見せられたみてぇだよ・・・」 自慢げに豊満な胸を張って「私、すごいでしょ?」と全身で語っている早苗を見て、げんなりと妹紅とFFが言う。言葉と裏腹に怪我などどこにもない。本来の再生力に加え、結局使うことのなかった治療用のフー・ファイターズで治癒力を強化しておいたためだ。 後で知った事だが、早苗の能力が【奇跡を起こす程度の能力】であり、今回はその能力がフル活用された結果がコレなのだそうだ。 またこの事件の真相は、村人達がある一人の男に「重ちーの能力を使って慧音が村を妖怪で溢れさせようとしている」と、言われ不安になっていたところに「今日は生徒がいないから今の内に寺子屋を焼いてしまえば慧音は何も出来なくなる」とそそのかされ、こんな事をしたのだそうだ。 FF個人としてはたった一人の男の言葉に踊らされるなど許せない事であったが、慧音が前に言った【人間が信仰すべき神様が存在しない】という言葉と慧音自身の希望もあって彼等全員は【壊れた校舎を建て直す】という償いのみで許すこととなった。 余談であるが、その首謀者は妖怪の山の近くで首を吊って発見されたらしい。彼自身に妻子はなく、遺体は村の共同墓地に運ばれる事となった。 「これも人間ってーヤツなのかねぇ・・・」 「残念ながら、な。」 FFの呟きに答えたのは他でもない慧音だった。 慧音の後ろでは、毎度の如くツェペリが子供達に仙道を教えている。その中に、無事【怪我をした歴史】を喰われ、元気を取り戻した重ちーも混ざっていた。 「人って言うのは皆、【不安】を抱いてる。だから【信じられる何か】を探すんだ。」 「それが、【信仰】ってヤツだ、と?」 「あぁ。だから自分の事を正そうとする。【確かな言葉】を求めるんだ。人っていうのはそんな儚い存在であるからこそ【信仰】を求めるんだろうな。」 慧音が眺めた先では、男達が神奈子の指示でオンバシラを運んでいる。 どうもついでとばかりに人里に分社を立てる気であるらしい。まぁ信仰ができるのはいい事であるし、慧音自身もそれを望んでいるので問題はないのだが。 「なぁ、慧音。」 ふと、思いついてFFは聞いた。我ながら意地悪な問いだなとは思ったが、是非聞いておきたい事でもあった。 「もし、だ。もし、今回の事のような事が起こったらどうするつもりだ?信仰すら信じられず、確かな言葉も得られないヤツが今回のような事を再び起こしたら・・・」 「私自身が身を引いてどうにかなる問題なら、私は躊躇いなく身を引くだろう。だが、それによって今回のように怪我人をだすようなら・・・」 慧音の目が、一瞬深い紅に染まった・・・ような気がした・・・ 「私は戦うだろう。私自身が正しいと思える道を進むために。私のせいで傷つく人を増やさないために、私は人を傷つける。」 そう宣言する慧音の目は凛々しくも、とても悲しそうに見えていた。 前へ 目次へ 次へ
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思い出すのは、あの懐かしい日々。 大した苦労も無ければ、悩みも大したことは無かった。 あの日、トリステイン魔法学園は上を下への馬鹿騒ぎだった。 神聖なる使い魔召喚の儀式、そこで予想だにしなかった事態が生じたのだ。 まずヴァリエール公爵家が三女、ルイズが女を召喚し、次に道楽者のマリコルヌが男(後に女と分かる)を召喚した。 続いて香水のモンモランシーが女を召喚すると、最後にタバサ、後のガリア女王シャルロット・オルレアンは帽子の大男を召喚した。 これまでに例の無い異常事態に、誰もがなす術を持たなかった。 全てはルイズから始まった。 その場にいた全ての人間が、後にそう言った。 それどころか、トリステインの公式文書にまでそう記されている。 彼女がそれに関して何を思ったかは定かでない。 後世、竜に例えられたほどの烈女もこの時16歳。 余りの出来事に、ただ呆然としていた。 トリステイン史に残る大事件からふた月余り。 学園多少は落ち着きを取り戻していた。 雪風タバサは、今日も本を読んでいた。 傍らには奇妙な格好をした男が一人、同じように本を読んでいる。 男の名は空条承太郎。 タバサは自分が召喚したこの男を、どう評価すれば良いか迷っていた。 見えない力を操る奇妙な使い魔。 人の話を聞いた上で自分の思ったようにする。 確かにフーケの一件では目覚しい働きを見せた。 しかし、あの「ギトーオラオラ事件」と「学園長オラオラ事件」。 あの時は耳を疑ったものだ。 どうもオスマンは徐倫に何かしでかしたらしいが。 しかし、学園長はともかく、ギトーの件は何があったのだろう。 まあ、こうやって本を読ませておけば暴れることも減るだろう。 タバサはそう考える。 それに、多少扱い辛くともそう問題はない。 彼のスタンドとやらは、極めて強力だった。 自分は遠くから、彼は近くから。 必要に応じて間合いを選ぶことも出来る。 仕掛けるタイミングさえ間違わなければ、負けることはあるまい。 己の目的も、存外早く果せるかもしれない。 復讐の予感に胸が躍る。 それに、と学友へ目をやった。 あれよりはマシだ。 ナルシソ・アナスイ。 承太郎も他人の言うことに従わない方だが、アナスイはそもそも話を聞いているのかどうか。 おまけに加減というものを知らない。 あの「ワルド分解事件」を思い起こせば―――― と、そこまででタバサは考えるのをやめた。 今はただ、子爵の冥福を祈りたい。 昼食の後の気だるい時間。 キュルケはタバサと承太郎を眺めながら欠伸を漏らしていた。 (親子みたいよねえ) などと考えている。 (わたしとだーりんがいっしょになったら・・・・・・たばさがむすめで・・・・・・じょりーんが・・・・・・もう、だめ、ねむい) 商魂逞しいゲルマニアっ娘のキュルケは、このところ承太郎からいくつもの商売のアイデアを得ていた。 もっとも、それに打ち込み過ぎたせいで睡眠時間は削られる一方。 授業でも常に居眠りしている始末だ。 「はふ、タバサぁ、わたしへやでねてるわぁ。代へんよろしくねぇ」 タバサへ一声掛けて、立ち上がった。 承太郎へ声を掛けるのも忘れない。 「だぁりん、またおはなし、きかせてねぇ~」 ふらつきながら食堂を出て行く。 それをタバサと承太郎が呆れたように見遣った。 「きゅる、きゅる」 食堂を出たキュルケに、使い魔が嬉しそうに近寄った。 サラマンダー。 尾の炎が示す通り、火竜山脈の生まれである。 真に誇るべき、堂々たる使い魔といえよう。 だが、 「なあんか、わたしだけハズレを引いたような・・・・・・」 「きゅる・・・・・・」 「うそよ、うそ」 笑み崩れたキュルケは、使い魔ですら引きつけられるほどに美しい。 悪戯っぽく、子供じみて、しかしこの上なく優しい。 酔っ払ったように歩く主人の後を、フレイムはゆっくり追いかけた。 「アナスイ。・・・ちょっと、アナスイ!」 タバサの同情を受けたモンモランシーは今日もべそをかいていた。 この二月、彼女の使い魔は主をそっちのけでルイズ・ヴァリエールの使い魔にひっついていた。 最初は怒った、それはもう怒った。 しかし、次第に不安になり少し前まではすっかり落ち込んでいた。 無視されているというよりは目に入っていない。 まるで空気のように扱われていた。 それがとても悲しいことなのだということを、モンモランシーは初めて知った。 「ちょっと、アナスイ。 呼んでるわよ」 「ゼロのルイズ」の使い魔がこう言うことで初めて振り向いて貰えるのだ。 自分は一体何なのか。 「ああ、分かってる。 分かってるよ、徐倫」 今日はいつもより一層酷かった。 口ばかりで、顔面は使い魔、徐倫のほうを向いて動かない。 涙が零れそうになってしまう。 「ヘイ、アナスイ! お前いいかげんにしろよ。 この子泣いてんじゃねーか」 「エルメェスぅ・・・・・・」 マリコルヌの使い魔、エルメェスに助け舟を出されるのにも慣れた。 エルメェスは強い。 強いから、優しい。 モンモランシーは涙を拭いた。 彼女が女性だと知ったときは驚いたものだが。 もしも時代が違ったなら、一城一勢の頭領になっていたかもしれない。 そのくらいの器はありそうだった。 「なに騒いでんのよ。煩くてしょうがないわ」 それまでケーキに夢中だったルイズが言った。 視線は承太郎の皿に釘付けになっている。 どうするべきか、はっきりと言うべきか? いやいやそれはない。 食い意地が張っていると見られるのは・・・・・・それは構わない。 しかし、これ以上食べると後で後悔することになるかもしれない。 「ところでさ、父さん。それ、食べないの?」 しまった! この果断さが徐倫の強さだ、ルイズは歯噛みする。 自分は一歩及ばなかった。 承太郎は答えない。 何も言わず、ケーキの皿を滑らせた。 それを自分の前に引き寄せた徐倫は、幸せそうな顔で言った。 「ルイズ、半分食べない?」 「徐倫、愛してるわ」 答えるルイズ。 すでにフォークを構えていた。 「わたしもよ、ルイズ」 笑いを含んだ声は、しかし強烈な反応を呼んだ。 「な、そんな、徐倫!?」 アナスイがうろたえて言った。 こいつ、マジで焦ってやがる。 そう胸の内で毒づきながら、モンモランシーが突然声を上げた。 「そんな、ルイズ。わたしとのことは遊びだったの」 またやってやがる。 エルメェスは欠伸を噛み殺していた。 何が楽しいんだかな、と思っている。 このところ、モンモランシーは随分と打たれ強くなった。 何があっても、楽しみを見つければ一瞬で立ち直る。 「馬鹿ね、そんなはずないでしょ。わたしには貴女だけ・・・・・・」 脳が茹っているような会話。 それを聞きつけて、それまで友人と談笑していたギーシュが割って入った。 「おお、モンモランシー! 女の子同士だなんて、一体君はどうしてしまったんだい!?」 なんと言うべきか、実に芝居臭い。 それに比べて、モンモランシーの演技は巧みだった。 「・・・・・・ごめんなさい、ギーシュ。わたし、わたし、もう・・・・・・」 顔を伏せ、涙すら流してみせる。 この三人は最近、このような小芝居に凝っていた。 ルイズ達だけではない。 学園のそこかしこで、同じような光景が見られた。 三人の所為で。 いや、元を辿れば徐倫に行き着くのかもしれない。 ワルドの裏切り。 ウェールズの死。 落ち込んでいたルイズ達を励まそうと、徐倫ががんばったのが良くなかった。 今では徐倫をそっちのけで、遊んでいることが多い。 なにしろアナスイがこれに必ず引っかかるものだから、日頃の鬱憤が晴れるらしい。 ギーシュもはじめは引っかかっていたのだが、このところはモンモランシーと共に楽しんでいた。 禁断設定の背徳感が良いのだとか。 その一方で、アナスイは不貞腐れていた。 徐倫の膝に顔を埋めながら、慰められている。 ところでこのアナスイ、どうにも迂闊なところがあって、今も徐倫が笑いを噛み殺しているのに気付かない。 承太郎が不愉快そうにしていることに、気付いたものはいなかった。 彼はキュルケとのことを、娘にちくちくとつつかれているのだ。 自分に矛先が向かないよう、気配を殺していた。 さて、ルイズ達が遊んでいるころ、学園の教師達が一堂に会していた。 「ああ、それでは会議を始めるとするかの」 議長を務めるオールド・オスマンが低い声で告げた。 皆うんざりしているのが顔に表れていた。 オスマンも同じ気持だった。 議題は学園の風紀の紊乱について。 生徒達、特に女子生徒が同性間での恋愛に耽っているということだが。 本来ならば一笑してそれっきり、といった議題ではある。 複数の貴族の働きかけがなければ、こんなことにもならなかったろう。 事情はこうだった。 とある生徒、これを仮にLとする。 発端はLともう一人の生徒・・・・・・Mでいいだろう。 この両者が召喚した使い魔が全ての原因だった。 この使い魔達が、同性にも関わらずいちゃいちゃと。 それをみたLとMが、これを真似して遊んでいたのが学園中へ広まってしまった、ということらしい。 まあ、殆どの人間はLやMと同様にふざけているだけのようなのだが、中には本気になってしまった者がいる。 それはどうでもいい。 オスマンは思う。 まあ、確かに好ましいことではないのかもしれないが、目くじらたてることもないだろうに。 問題は余計な告げ口をした人間がいた、ということだ。 そのせいで王城はちょっとした騒ぎだとか。 (このような状況で、暇な奴らよ) 馬鹿馬鹿しい気分は募る一方だった。 一方で、目の前の教師達のことも気に入らなかった。 いつもそうなのだが、盛んに発言するのはコルベールくらいなもので、後の者はみな嫌味か責任逃れくらいしか言わない。 どいつもこいつも、とオスマンは思う。 熱意が足りない。 突然、いつかの承太郎の言葉が蘇った。 「国家にとって、教育というものは割の良い商売のようなものだ。金を掛けただけ、手を掛けただけ利益がある」 国が教育に力を入れる。 育った人材が国を潤す。 そうして得たものを再び教育へ投資し、さらに、さらに。 そうなのだ。 トリステインは小国だ。 だからこそ、少ない人間を鍛え上げ、磨き上げなければならない。 そうしなければ、他国に対抗できない。 これは国家の競争力に関わる問題なのだ。 これまで抱えてきた難問が解けていくような心地だった。 これからは忙しくなるだろう。 これまでの日々が恋しくなるかもしれない。 しかし、彼はもう決めたのだった。 後世、オールド・オスマンは偉大なメイジとして名を残すこととなる。 彼の名を冠した都市が一つ、大学が二つ。 胸像は百を超え、彼を扱った書籍に至っては千を越すだろう。 そんな彼について、必ず語られることが二つある。 一つはその好色さであり、一つは彼が手がけた数々の教育改革だった。
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クエスト/奇妙な金属の脚を調査する 開始 無線塔で金属の足を入手する。 クエストの流れ レンジャー・シタデルでヴァーガス将軍に渡す。 本部に入れるようになった後、エシル・メルキャプテン隊長に話すと完了。 報酬 支給品シュ・モデルのコンバットナイフ、ボトルシップ、ホワイト・デス、日傘、独特な弓の中から一つ。
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ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド 【じょじょのきみょうなぼうけん ふぁんとむぶらっど】 ジャンル 波紋疾走アクション 対応機種 プレイステーション2 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 アンカーエンタテイメント 発売日 2006年10月26日 定価 6,800円(税抜) プレイ人数 1人 レーティング CERO B(12歳以上対象) 判定 クソゲー ポイント 再現しすぎてテンポ悪化溢れる原作愛以外の全てが足りない ジョジョの奇妙な冒険シリーズ 概要 評価点 問題点 総評 余談 概要 1987年から現在まで今なお連載が続いており、ファンも非常に多い漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部『ファントムブラッド』をゲーム化した作品。 ジョジョのゲーム化と言えば第三部を題材としたカプコン製の対戦格闘ゲームが知名度・評価共に高いが、その後PS2でリリースされた同じくカプコン製の第五部を題材としたゲームは、評価点もあるものの人気の高いストーリーやバトルが省略されていたりすることもあり、ファンからの評判は芳しくなかった。 そんな中、再現度が妙に高い第一部冒頭のムービーをひっさげて本作は現れた。ファンは当然期待していたのだが……。 評価点 前述の冒頭ムービー(「族長(オサ)! 族長! 族長!」のシーン)もそうだが、全体的にムービーやキャラクターモデルなどの再現度は高い。 声優も有名どころを使っており、かなり頑張っている。 ディオ役の緑川光氏、ツェペリ役の小山力也氏、スピードワゴン役の小野坂昌也氏などはハマリ役とされている。 原作に登場するほとんどのキャラクターを網羅している。 名脇役スピードワゴンを操作できるステージもある。 スピードワゴン以外にもジョジョの師匠であるツェペリ、ツェペリと同じ波紋使いであり有名なネタで知られるストレイツォが操作できるステージもある。 隠しモードではラスボス・ディオを操作できる。 使用可能なキャラクターの中には、警察官やアダムスさんなど、「コイツが使えて誰が喜ぶんだよ」というキャラまでいるマニアックぶり。しかも挑発や攻撃を受けた時の音声が笑いを誘う。 条件を満たせば、最後の船のシーンが「ジョナサンと完全復活を果たしたディオの最終決戦」になる、という本作オリジナル展開が見られる。 よくファンにネタにされる誤植「何をするだぁーッ!」が正しく「何をするんだぁーッ!」に修正されているのだが、2周目に入ると修正前の台詞になる(ちゃんと声優の台詞も変わる)。この部分を「解っているファンサービス」として評価する向きもある。 原作愛は満点。 かつてジョジョゲーでは高評価だったPS版のスーパーストーリーモードのごとく、とにかく第一部のエピソードは完全再現している。 ジョジョの特異なポージングもゲームとして取り入れられている。 豪快な打撃は波紋ならではの爽快感。 問題点 あまりにも原作そのまんまであるため、テンポが非常に悪い。 「原作漫画をそのまま台本にしているのではないか」と思うぐらいにきっちりやっている。 漫画原作の作品であるのでその姿勢自体は別によいのだが、それがかえって仇になってゲームとしては残念な出来に。 演出はショボい。漫画から紙芝居(良く言えばスライドショー)にクラスチェンジしたと言ったほうが正確かもしれない。 そしてその紙芝居の観賞時間がプレイ時間の7割を占める。 原作に忠実過ぎて、演出ではなく台詞の尺を稼ぐためにスローモーションになったり、一時停止したりするのは日常茶飯事。 ジョナサンとディオのボクシングのシーンでもスローモーションが使われているが、その後ろには通常の速度で応援を続ける観戦者が見える。せめて動きを止めろ。 CEROの配慮のためか、ツェペリが真っ二つにされるところやディオが両断されるシーンなどは、紙芝居のコマが切られるだけであり、原作を見ていないと何が起こったのか判断しにくい。 他にもジョジョの師匠となるツェペリが、なぜ石仮面を追っているのかといった重要なエピソードが削られており(「私は何十年も石仮面を追っている」という台詞だけ)、中途半端な部分も見られる。 ゲーム自体の内容はどうかというと、ハッキリ言って悪い。 操作性が極悪(下記にもあるようにロックオンなどがないため攻撃が空振ることが多い) カメラワークも悪い(死角からいきなり敵が出てきてフルボッコにされることも) ゲームバランスも極端(後述) と三拍子揃っている。難易度設定も存在しない。 とにかく序盤の難易度が高い。 最初の敵として出てくるいじめっ子2人は負け前提のステージなだけまだマシだが、その後も妙に高い敵の攻撃力に怯えつつ、常時ガードしながらカウンター攻撃を繰り返す作業感の強いステージが続く。 ディオとゾンビ化した警官二人を相手に戦うステージでは、ディオは倒す事が出来ず(体力をゼロにするとダウンしたままの状態になって攻撃が通らなくなり、その間に体力が自動回復しまた立ち上がって攻撃してくる)、警官二人のみを特定のコンボ攻撃(浮かせてからの連打攻撃で特殊なヒットエフェクトが表示される)で倒す事がクリア条件になっているが、それら全ての情報、ヒントがどこにも提示されない。 しかし、ストーリーがある程度進み波紋を習得すると、今度は一気に難易度が低下する。 コマンド入力によって、ジョジョ立ちとして知られるあの独特なポーズを取ることができ、それにより攻撃力増加や回復速度上昇等様々な恩恵を得ることが可能となる。 ポージングを使わずとも、R1溜めで繰り出せるズームパンチがかなり強いので、溜めながら逃げてズームパンチの繰り返しで残りのほとんどのステージはクリアできる。 どっちにしてもほとんど繰り返しだけの作業ゲーであることは変わらない。ひたすら地味。 覚醒技(超必殺技)があるのだが、技を最高の威力で出すためには、発動技を当てた後に「スティックをひたすら回転 → ボタンをひたすら連打」という、何度も出すと非常に疲れる仕様になっている。 覚醒技のムービーがかかる際は背景が七色の変な模様に変化。目に悪い配色である。 ストレイツォの覚醒技にいたっては、連続蹴りを入れている間中「容赦せんせんせん…」と連呼するネタみたいな技に…。 ゾンビをパンチで殴り倒す作業に慣れた頃に、初見殺しの水中ステージ+黒騎士ブラフォードがやってくる。 後半ではここだけ異常に難しく、敵の攻撃パターンをしっかり読んで反撃を入れていく必要がある。無双をやっていたと思ったら、覚えゲーだった。何を言っているのか(ry またこの戦い、原作では「剣は使わん! これは勇者としての決闘だ!」と水中では一切剣を使わなかったブラフォードが平然と剣を振り回してくる。 スピードワゴンは波紋は使えないので当然厳しい……と思いきや、R1で繰り出せるハンマーの溜め攻撃がかなり強いので問題ない。ちなみにゾンビの倒れる演出が波紋を食らって消滅する時と同じである(要するに使いまわし)。 ズームパンチもそうだが、下手にR2で覚醒技を出すよりもR1溜めで攻撃した方が効率がいい。またR2技は空振りでも一々ムービーがかかるため、時間的にも苦痛になる。 ちなみに本作最強の敵は、黒騎士ブラフォードでもタルカスでもディオでもなく、前述の最初に出てくるいじめっ子2人である。 ジョナサンの場合は最初の負けイベントでしか登場しないので問題無いが、隠しモードのディオモードではこいつらを子分にするために敵として戦い、勝利しなければならない。 原作での強敵は、出てくるころにはプレイヤーもそれなりにパワーアップしているのでまあ対抗できるのだが、いじめっ子2人のステージのプレイヤーは無力。しかもシステムの不全もあり、この時点の能力で2人を相手にするのは本当にディオと戦うよりはるかに厳しい難易度。片方を殴ってるともう片方が見えない位置から見えない角度で殴ってくる。両方を同時に倒す方法は皆無で、運まかせ。やってみればわかる難易度。 ファンの間では、「俺たち(開発者)がクリアできない難易度に調整されている」と言われている。 俺たちができないことを平然とやってのけないとディオとは認めてくれないらしい。 隠し要素はステージクリアによって得られるポイントの蓄積によって解禁できる。 そのため、必然的にクリアしやすいステージを何度も繰り返すことになる上、ゲーム内容自体も作業なので非常にダルい。 また、得られるポイントはステージ評価によって増減するが、ステージ評価の記録は保存されないので新記録を狙うといった楽しみ方もできない。 総評 原作ファンにはオススメできる要素も多く、ファンアイテムとしては高い価値があるものの、ゲーム性の劣悪さから、単体のゲームしてはクソゲー呼ばわりも仕方ない出来となってしまった。 結局こうなってしまったのは、原作愛だけはあったが他のすべてが追いついていなかった……というのが真相なのかもしれない。 上にも書いているが、誰得キャラが使える一方でメジャーなキャラもしっかり押さえてあり、特にジョナサンとディオに関しては、攻撃手段が違う差分がかなり多い。差分まで含めた場合、今作で操作可能なキャラの数は40を超える。全5巻で比較的登場キャラが少ない第一部でこれだけのキャラが使えるのはかなりのもの。しかし惜しむべき事に、今作には『対戦モード』と言えるものが無く、自由にキャラクターを使うことはできないし、友達と遊ぶこともできない。もし導入していれば少しは評価も上がっていただろう。ネタゲーとしては。 + PV 先に述べている通り原作再現部分及び声優の演技は評価が高い為、ゲーム性に目を瞑って遊んだ原作ファンからは概ね高い評価を受けている。 余談 今作は発売して2ヶ月ほどでAmazonでは価格が暴落、新品が6割引という値段にまで落ち込んでいた。 パッケージ絵は荒木先生が新たに書き下ろしたジョナサンとディオのイラストが使われているが、当時とかなり画風が変わっているためにほぼ別人に見える(このゲームに限った話ではないが)。また、本作を予約して買うと、「荒木飛呂彦インタビュー」を収録した特典DVDがもらえた。 ちなみにTVCM(15秒と30秒)も収録されている。内容は多くのエキストラが「だるまさんが転んだ」でジョジョ立ちを行うというもの。 サイバーコネクトツーの松山洋氏は『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』の製作をするキッカケとして「2007年に『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』というクソゲーがありまして」という事で本作をプレイして企画を持ち込んだとのこと(参考リンク)。その結果出来上がったオールスターバトルはというと…。詳しくは上記記事を。
https://w.atwiki.jp/broadcast/pages/91.html
♀ ジョジョの奇妙な冒険喋りながらプレイ(下手ってレベルじゃない) ♀ ♀ ジョジョの奇妙な冒険喋りながらプレイ(下手ってレベルじゃない) ♀ http //www.nicovideo.jp/watch/sm3054017